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マグネシウムの基礎知識:安全な取扱い

マグネシウムは燃えやすく、危険であるという先入観が一部にありますが、マグネシウムの基本的な物理的特性と性質を十分理解し、安全な取扱いと設備により安全に生産ができます。
※実際の使用にあたっては専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

一般的な性質

  1. マグネシウムは大気中の炭酸ガスや亜硫酸ガス、湿気と反応し酸化物、硫化物、水酸化物
      の皮膜を生ずる。
  2. 溶融マグネシウムは大気中と反応すると閃光を発しながらゆるやかに燃焼し、白色の酸化マ
    グネシウム(MgO)を形成する。
  3. 大気中の窒素とも反応し茶褐色の窒化マグネシウム(Mg3N2)を形成する。窒化マグネシウム
    は水と激しく反応し高熱を発生する。
  4. 燃焼中のマグネシウムに適度の水が触れると水を分解し、水素と酸素が発生し爆発を起こし
    たりマグネシウムの燃焼を加速させる。
  5. 適度の水を含む切りくずや微粉は裸火により容易に着火し、水を分解して水素と酸素を発生
    し激しく燃焼する。
  6. 加熱された酸化鉄(鉄鍋から発生した酸化スケールなど)に溶湯が触れると激しく反応する。
    (テルミット反応)
  7. 高温水や塩化物を含む水溶液中では水と反応し、水素ガスを発生しながら水酸化マグネシウ
    ム(Mg(OH)2)を形成する。

これらはマグネシウムの各加工工程での注意すべき点に結びつきます。
以下に、各加工工程での注意すべき点の一例を示します。

各工程での注意点

<その他>
●地金、回収スクラップ、製品等の保管場所は、不燃構造の建物であると共に通気をよくすること。
●切削、研磨加工時の微粉処理には、湿式集塵機を使用すること!!
●熱処理作業は、保護雰囲気を保つ装置で行うこと。
 また、炉内温度分布、温度調節計、熱電対等により適正温度の維持管理を徹底すること。
●消火剤と特長
①金属火災消火器:大量の噴霧が必要。消火効果はあるが、鎮火までは厳しい。
②乾燥砂:空気遮断と熱吸収により鎮火に近い状態をつくる。
③黒鉛パウダー:乾燥砂より熱伝導率が良好であるため消火効果が良い。
④ダライ粉:熱伝導率が高く熱吸収能も大きいため、他の消火剤より被覆効果が大きい。消火効果はきわめて大きい。
⑤溶解用フラック:燃焼熱で塩化マグネシウムが一部気化して防燃雰囲気をつくる。

※水分は燃焼を促進させるため、いずれの消火剤も保管中の吸湿に注意すること。

詳細は「マグネシウムの取扱い安全手引き」に記載されています。

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